今回、「なぜ痴漢(強制わいせつ)が当たり前のように日常的に発生しているのか」について取り上げる。




明治から存在する痴漢



この問題を取り上げる理由は、痴漢の被害は古くからあるにも関わらず、その数はほとんど変わらないといってよいほど現代において当たり前のように発生しているからである。

少なくとも痴漢は、明治45年に電車内で発生しているのが確認できる(明治45年1月28日の東京朝日新聞)。

にもかかわらず、女性専用車両や防犯カメラの導入など痴漢の対策が本格的に始まったのは2000年に入って以降である。

また、不思議なのは、公務員や官僚など社会的に成功している人さえも痴漢容疑でニュースに取り上げらえることがあることである。

被疑者の51%が会社員



2011年の警察庁の「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書」によれば、迷惑防止条例違反のうち痴漢行為の検挙件数は毎年4000件を超えている。その被疑者としては、30代が33%、40代が26%であり、被疑者の職業としては無職のものは10%にすぎず、51%が会社員である。

この点、公益財団法人日工組社会安全財団の「痴漢・ストーカー被害に対する不安感と対処に関する研究」では、被疑者として無職、自由業、肉体労働者などは少ないことが分かっている。

痴漢の動機としては、「痴漢をすると興奮するから」が50%であった。また、痴漢を行った箇所では、「左右のドアとドアの間」が57%、「座席の前」が22%、「座席上」が16%であり、目のつきそうな座席上でさえ痴漢が発生していることが分かる。

また、痴漢と言えば、満員電車をイメージしがちであるが、比較的空いている電車内においても発生しているようである。


なぜ痴漢が発生するのか



痴漢の発生要因として、満員電車という人と人が密着した状態のなか、性欲が刺激されて女体に触ってしまう、または、露出の高い服装の女性によって性欲が刺激されて犯行が行われるといわれている。

しかし、上記の事実から察するに、私は痴漢を行う犯罪者は遅発性の傾向が高く、犯行期に至るまでのストレスやその者が有する気質(性格)が原因ではないかと思う。

その理由としては3つある。

1つは、被疑者の職業として無職や自由業、肉体労働者に少なく、会社員が多いことである。なかでも官僚など社会的に成功している者までもが犯行に及んでいるところに特徴がある。

つまり、これらの者は、青年時代、とくに学生時代を難なくこなしてきたと考えられる。少なくとも、勤勉さや生真面目さなどの気質を持っていると考えられる。このような気質の人は、本音や自分の感情を抑制しやすく、ストレスも溜めやすい。

2つ目に、犯行の動機として「痴漢をすると興奮するから」が50%を占めることである。このことから察するに、共感性の欠如が見られるのではないか。

すなわち、勤勉さや生真面目といった気質を持つ者であり、社会的にも成功している者は、青年時代に学歴社会が築いたある種の「レール」に乗ろうと必死に頑張ってきたのではないか。

そう考えると、遊びよりもむしろ勉学、人とのかかわりよりも学業を選択してきており、共感性が十分に培われなかった可能性があると考える。

3つ目は、30~40代に多いことである。この年代は、結婚や子育て、家庭を持つ者が多く、そして社会的にも重要な役務を任される時期である。

そこで、このような環境下では、働き手である夫には家庭というプレッシャーや社会的地位などからくるストレスは相当にあると考える。

この点において、生真面目な人や不器用な人はそのストレスの解消をうまくコントロールできず、「ストレスから解放されたい」という半ば社会的自殺の意味から犯行に至ると考える。


まとめ



前述のように、痴漢は明治時代からはじまり、日々絶えることのない犯罪である。

その根幹には、日本の社会の在り方を垣間見ることができるのではないか。

すなわち、学歴社会によるストレス、そして「汗を流して働くこと」が良いこととされる風潮などが勤勉さや生真面目さと言った気質を持った人を苦しめ、現代の恒常的な痴漢を招いているのではないだろうか。

 
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