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『惑星ソラリス』感想&ネタバレ ソラリスが問いかける人間の在り方とは

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今回は名作、アンドレイ・タルコフスキー監督『惑星ソラリス』をレビュー。
こちらの作品、TSUTAYAで借りて一度挫折しましたね。スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』と並ぶ意味深な作品です。しかし、その深さと言ったら…。
■原題:Solaris
■1972年/ソ連 上映時間165分
■監督:アンドレイ・タルコフスキー
■脚本:フリードリフ・ゴレンシュテイン、アンドレイ・タルコフスキー
■原作:スタニスワフ・レム
■出演:ナターリヤ・ボンダルチュク、ドナタス・バニオニス、アナトリー・ソロニーツィン、ウラジスラフ・ドボルジェツキー、ユーリ・ヤルベット

あらすじ

未知の惑星ソラリスを調査する宇宙ステーションで異常事態が発生し、調査に派遣された心理学者クリス。宇宙ステーションに滞在する科学者3人のうち、1人はすでに謎の自殺を遂げて残る2人も何かに覚えている様子であった。
しかし、クリスも調査をするうちに科学者しかいない宇宙ステーションから子供の声を聞いたり、自殺した妻ハリーの姿を目撃し怪奇現象に見舞われていく。
そのすべての元凶は惑星ソラリスはあり、ソラリスはプラズマ状の”海”に覆われており、理性を持つ有機体であった。人間の潜在意識を探り彼らに幻を見せるソラリス。死んだ妻の面影に心の揺れていくクリスが選ぶ選択は如何に。
(あらすじオリジナル)

感想&ネタバレ

作中は最初から最後まで非常に眠気を誘ってくるようなシーンが続く。
しかし時間がたつにつれて、観客は惑星ソラリスのその不気味さを感じていくのである。
冒頭に伝えたように私も一度挫折をし、二度目の鑑賞で最後までたどり着けたのだが、
どこかモヤのかかったような映像は、惑星ソラリスの”海”そのものとさえ思えてしまう。

ポーランドのSF作家スタニスラフ・レムのベストセラー長篇「ソラリスの陽のもとに」の映画化であるが、”未知なるもの”と遭遇して極限状況に置かれた人間の内面に光をあて、「愛」と「良心」をめぐる道徳・哲学的な問題を提起。深い洞察と独特の映画表現によって、映像による思弁ともいうべきタルコフスキーの世界を構築している。そして、これまでのSF映画に見られない新たな地平を拓いた画期的作品として、多くのファンを今なお魅了し続けているのである。

出典:アンドレイタル・コフスキー映画祭
この映画を観るには覚悟と時間が必要であることはわかっていただけたと思うが、
端的にラストをネタバレするのであれば、
かつて妻ハリーを愛し、死んでしまった彼女をいまもまだ忘れられない主人公クリスは、大いなる宇宙のもと、惑星ソラリスの幻に心を捉われ、過去の人となってしまったのである。
なんという人間の心の弱さだろうか。しかし、誰しもクリスを責めることはできない現実的な人間像だろう。

考察:惑星ソラリスが問いかけたかったこととは

生命を慈しみ死ぬことが出来たなら幸せである。人間は個を以てしか愛すことができない。
生と死を繰り返す、惑星ソラリスにディスプレイされるハリー。クリスの妻ハリーの仮面を被った幻影だが、“ハリー”は最も人間らしく感情と思考を身に付けていく。クリスを愛し、クリスに愛されたかった“ハリー“。
しかしクリスが愛しているのは前妻、過去のハリーであり、幾度も甦る個を超越した“ハリー”自身を受け入れることは難儀である。
他方、前妻、過去のハリーはクリスの愛を感じようとして自殺を図ったわけである。
眠りに見る夢は人類に共通する財産である、と作中で紹介された。
本来、クリスは夢の中でハリーを見続けるべきであった。死した最愛の妻がいまもなお目の前におり続けるとしたなら、クリスの世界に(最愛の妻が死ぬという)恐怖はない。恐怖がなくば不安もないし、生を感じることもない。楽しみしかない世界はやがて“楽しむ心”を感じなくなるから、無味無臭の眠りの世界と変わらなくなる。
夢にも終わりがあり、夢の中で起こり得ない出来事には、目覚めたあとに尊さを感じるものだ。
原作未読なので分からないが惑星ソラリス自体が愛を求めていたのではないかと思う。知能を得て愛を知ってしまった。しかしそれは叶うはずのないことなのである。

まとめ

クリスにとっての惑星ソラリスがどのような存在であったのか。
単に幻の妻ハリーを愛してしまっただけではなく、その向こう側のクリスの自我をソラリスは見透かしてしまったのだろう。
いま問題となっているインナーチャイルドやアダルトチルドレンなどといった、
幼少期の甘えを抱えたまま生きる大人を投影したかのような映画であった。
なお、若輩者の私にとってこの作品はまだ背伸びしたところがあるかと思う。
願わくば40代50代となったときにまた鑑賞しなおし、その真価を問い正すことができればよい。

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